今日は20時まで残業。
2時間も余分に働けば¥3,000くらいにはなる。
疲れもほどほど金もほどほど。
このくらいが調度いい。
今日は土曜に書いた、予算変更受付業務の続き。
法的にどうかということを確認するため経理部のおっさんに電話。
「今日は忙しいから無理だ」
社会というのは厳しい。
社内であっても、それは同じこと。
新入社員だから甘やかしてくれるなんて期待はできないのだ。
しかし意気消沈している場合ではなく、
他にもたまった仕事を片付けなければならない。
上司に詰められないうちにとっとと。
そこそこにサボりつつ一所懸命獅子奮迅。
しかし和えなく定時に。
(しょうがねーか、また明日だな)
とか考えてたが、問屋は首を横に振る。
仕事が増えた、帰れない。
それだというのに会議机に連行される。
若手社員が4人ほど座っている。
なにやらこないだやってきた外国人上司の歓迎会の打ち合わせだそうだ。
「オサムくん、今度の歓迎会の司会、頼むよ」
そんなものは頼まれたくない。
「オサムちゃんにやって欲しいわー」
関西弁で頼まれたってダメだ。
うつむく俺に視線が集中する。
彼らにとってはすでに『俺=司会』が決定事項らしい。
いやだいやだボク恥ずかしいんだい。
とか答えるのはさすがに大人気ないのだがかといって自信満々に、
「ぃやります!!」
などと答えるのもどうかと思う。
ここは自信なさそうに承るしかない。
「・・・ぶっちゃけ自信ないですけど・・・わかりました。やります」
俺の勇気ある返答に、目の前の4人から笑顔がこぼれた。
始めから俺に決めていたくせに、畜生。
「押し付けられたみたいなのは嫌ですし、先輩方もそうですよね。
あくまで僕が希望したということにして下さい。大丈夫ですから」
一応虚勢ははってみせた。
俺って大人じゃーん、わはははは。
うまくこなせたらもっと笑おう。
社会人というもの、仕事が出来るだけではダメだ。
こういうことに対しても動じないくらいにならなければ。
仕事と司会のプレッシャー、ちょっとした色恋沙汰の痛手。
そういうのは一切見せずにたまに背中で泣こう。
強がりではなくて自然にそういうことができるように。
そういうのがいい男なんだろう、たぶん。