ホワイトバンド運動に関して、

「うん、悪くない」

と書いたが、

ここのところ本屋に行くなりネットを徘徊するなりして、

いろいろな情報や意見を頭の中に叩き込んで整理すると、

自分のその発言を撤回したいと思うようになった。


3、そして、このチャリティによって得られた金の使い道は?

  運動の意味は?

今夜はこの疑問について、書こうと思う。




ホワイトバンド運動 において、勘違いしてはいけないのが、

このバンドを買ってもその売り上げが、

貧しい人々へは行かないということである。


サイトの方でも明言されているが、

「売り上げは寄付としてではなく、政策を変えるための活動費として使う」

このような主張がなされている。


「そうか、彼らは貧困をなくすために有効に動いてくれるのか」

という風に理解するのは、少々気が早い。

なぜなら、活動費として使われるというのなら、

彼らが活動のためだったと言えば、何に使ったってOKということでもあるからだ。


しかし、そこはさすがに、透明性のある会計報告をするともサイトに書いてあった。

「なるほど、それなら安心だ」

いやいや、間に受けるのも早すぎる。

会計報告というのは透明性だけではダメなのだ。

そこに、中立公正なる第三者による監査がなければ、

報告書にどんなウソを書いたとしても平気ということになる。


一応俺も、企業会計、監査に関しては勉強してきたし、

これで金をもらって食っている。

だから俺は、ちゃんとした説明がなされない限り信用しない!


少し前に、寄付で集まった金が横領されるという事件があった。

これはNGOの手によってである。

NGOと言えば聞こえはいいが、彼らとて我々と同じ人間である。

彼らがNGOで、誰かを救うために頑張っているのかは知らないが、

それだけで彼らを信用するわけにはいかない。


また、監査、何に使ったかだけではない。

使った金によって、どんな結果を出したかについても、

同様に報告が必要である。


株式会社も、株主に出資してもらって、

どのように金を使って、どんな結果(利益)を出したのか、

職業公認会計士による厳正な監査を受けて、

報告書が認められるのである。

それは、金を出してもらってるのだから当然である。


そして、今回の運動の場合、人の善意に訴えて金を集めたのだから、

その道義的責任はある意味企業よりも重い。


もし、真っ当な監査を受けないのであれば、

単なる資金集めと揶揄されてもそれは当然である。


この運動に参加するNGO諸団体が、

厳正なる監査を受け、一円単位までの金の使い方、

それから、どういう具体的な成果を出したか、

さらに、それらを広く公表する。

これらが実現することを願ってやまない。





それでは、この運動の意味自体はどうなのであろうか。

結論から言う。

無意味。

しかも救われるのは貧困に苦しむ子どもではなく、

この運動に乗っかって儲けた業者。

理由は以下に述べさせてもらう。



「この状況を変えるには、お金ではなく、あなたの声が必要です。貧困をなくそう、という声を表すホワイトバンドを身につけてください」

(以上サイトからの引用)


一見素晴らしいことを言っているようであるが、問題なのである。


また、この運動に興味を持つようになって、いろいろなブログで、

様々な方々のご意見を読ませてもらった。


「一人一人の声は小さくても集まれば大きな力になる」

「問題に関心を持つことが大事」

「貧困問題を浸透させた功績が素晴らしい」


などなど、確かにそうだとは思う。


だが、サイトに載っていた文章にしても、

様々な方の意見にしても、

とても大事なことが抜けている。


それは、具体性

声をあげて、力を集めて、それを一体どうするのかという具体性


サイトでも、

「政策はこれから考える」

と書いてあった。


馬鹿にするなと言いたい。


大きな力を集めて、G8首脳に対してアピールするといってるが、

アピールしてどうなるのだ?

それよりも、こうすれば貧困はなくなる!

といった政策を提案すべきなのである。

(ただし、現実的なもの)



だが、今まで各国政府も、ユニセフも、何もしてこなかったと言いたいのか?

それは違う。

現在に至るまで何年も、数千億ドルに及ぶ援助をしてきたはずである。


それに対して、効果のある援助ができていないからだ、

彼らは言っているのだが、

それなら、さっさとあんたらが対案を出せよといいたい。


大体、そんなに各国政府が無能だったのか?

そこに、貧困問題のスペシャリストがいなかったとでも言うのか?



大きな声が歴史を動かしてきたのは事実だ。

しかし、それは具体的な行動が伴った場合に限る


一人一人の声が集まって、大きな力になっても、

具体的な最善の解決策がないかぎり、

いつまで経ってもアフリカの人々は救われないのである。


こんな白いバンドなんぞ買わずに、

昔からこの問題について積極的に活動し、

経験も知識もあるユニセフに寄付したほうが、

きっとたくさんの子どもたちが救えるだろう。


そもそも、芸能人とかメジャーなスポーツ選手を使うなら、

ユニセフに募金をするようにアピールさせた方がよかったのだ。

あるいは、有効な政策を編み出してからの方がこういうキャンペーンをした方がよかったのだ。



もし、ホワイトバンド運動を主催するNGOが、

本当に有効な解決策を打ち出せるのだとしたら、

俺も賛同する。


だが、できてないから、賛同しない。

300円のうち、70パーセントが慈善活動とは関係ない、

業者の手に渡ってしまうのならなおさらだ。

(次回、これまで主張の総括をします)